家族同士の絆も希薄になる中、「家庭=あたたかい」といった図式は崩壊しつつあります。どうしても親を許せなかったり、子供を思うとおりにコントロールしたくなる、そういった家族も存在するのです。解決不能に思われる家庭崩壊ですが、家庭は立て直せなくても、家族はそれぞれ立ち直る術はあります。
まずは機能不全家族とは、アダルトチルドレンとは何かを知ってほしいと思います。
機能不全家族って何?
機能不全家族とは、簡単に言うとコミュニケーション機能がうまく働いていない家庭のことを指します。
機能不全家族は、子供やパートナーと自然に会話することができず、物音の立て方や顔色などの非言語的要素で相手の機嫌を察しようとします。
また、家族の中にアルコール依存症の患者がいたり、暴力で家族を支配しようとする場合もあります。
どの家庭にも問題があるのは当たり前で、それを乗り越えて家族として成熟していくのが健康な家庭です。
ですが、機能不全家族は問題から目を背けます。例えば、父親がアルコール依存症だったとしても、見て見ぬふりをしたり、自ら酒を買ってくるなど問題行動に協力してしまうこともあります。子供は家に問題があることを、外で話すことができません。
機能不全家族で育つとどうなるの?
そのような問題のある家庭で生き延びるために、子供は処世術を身につけます。
例えば、「いい子」になる。親の顔色を伺い、期限を損ねないようにいつも笑顔でいます。もしくは、勉強をしていい成績を取り、いい子である証拠を残そうとします。
次のような例もあります。
とある機能不全家族で育った女の子には、アルコール依存症のお父さんがいました。
お父さんに振り回されて、家のことに手が回らないお母さんの代わりに、その女の子は家事をしたり下の子の面倒を見たりしました。
ですがこれは、本来子供がやるべき役目ではありません。
以上の二つの例のように、子供らしく自由に振る舞うことができなかった子が大人になり、「アダルトチルドレン(通称AC)」となってしまうのです。
アダルトチルドレンはとても生きづらい
アダルトチルドレンは人から傷つけられないように振る舞うことに必死です。
なぜなら、「そのままの自分を愛してくれる」家族がいなかったからです。
いい子でないと家族から愛されないと思っていた子供時代の感情を引きずっているので、大人になってもいい子を演じようとします。
ですが、それは非常に苦しいことです。
常に緊張の糸を張って過ごしているため、心休まる時がありません。そのためストレスに弱く、社会にうまく適応できなくなってしまうことがあります。
アダルトチルドレンは本人の問題
もし自分の子供がアダルトチルドレンなのでは?と感じても、親が治してあげることはできません。本人の考え方、生き方の問題なのです。
アダルトチルドレンは、過去のトラウマを語ることで回復しますが、素人がカウンセラー役をすることは非常に危険です。専門のカウンセラーに任せましょう。
また、親が子供のために不幸になっている姿を子供に見せてもいけません。
「自分のせいで親は不幸なんだ」とアダルトチルドレンは自分を責めてしまいます。
まずはあなた自身が幸せに生きることです。それが子供のためにできることだと思ってください。
健康な家庭に近づくために
家庭内で解決すべき問題が起きたら、しっかり夫婦で話し合うようにしましょう。
また、夫婦の問題は夫婦内だけで解決すること。子供を巻き込んではいけません。
特に小さい子供は、親の不仲や具合の悪い姿を見て、「自分のせいだ」と思い込んでしまう傾向にあります。子供の前で喧嘩をしたり、泣き顔を子供に見せるのは避けましょう。
子供が20歳以上の場合。機能不全家族の中で育ててしまったのは親の責任もあるでしょう。ですが、20歳を超えている場合、生き方を決めるのは子供本人なのです。
アダルトチルドレンを克服するかどうかも本人次第です。
そのことを親も忘れずにいてくださいね。