「子ども・子育て支援新制度」と『認定こども園』

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平成25年4月から子ども・子育て支援新制度が始まりましたが、何がどう新しくなったの?と、なんとなくよく分からないという方も多いのではないでしょうか。この子ども。子育て支援新制度は、「すべての子どもたちが、笑顔で成長していくために。すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために」という考え方に基づいて作られています。この新制度の大きな柱となっているのが、『認定こども園』の普及ですが、この『認定こども園』について簡単にまとめてみました。



認定こども園とは?

そもそも『認定子ども園』とは何なのでしょうか。
これまでは、保育園と幼稚園は別々のものとして扱われてきました。
保育園は、0歳~5歳児を入所対象としており、親が共働きで日中の保育が困難だったり、何らかの理由で保育の助けが必要な子どもしか入所できません。そして、一日の保育時間も原則として8時間、最長11時間とされています。一方、幼稚園は満3歳から5歳児までが入所対象としており、標準4時間が幼稚園教育要領で定められています。
「認定子ども園」は、これら幼稚園と保育園の良いところを一つにした施設で、0~5歳の子どもの教育と保育を一体的に行うことができるようになります。
これによって、保護者の就業状況によって保育園を慣れ親しんだ保育園を退園したり、他の保育園に入園したりと右往左往していた子どもが、同一の施設の利用が可能になり、さらに今問題になっている待機児童の解消にもつながります。

幼稚園と保育園の違い

そもそも、幼稚園と保育園は何が違うのでしょうか。
幼稚園は文部科学省の管轄にあり、小学校や中学校、高校、大学などと同じように、学校教育法に定められた「学校」です。「幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的」としています。
小中学校と違い義務教育ではありませんが、満3歳から小学校就学の年の満6歳になるまでの幼児に入園資格があります。幼稚園で行われるのは主に「教育」です。
一方保育園は、厚生労働省の管轄にあり、「児童福祉施設」です。「保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的」としています。入所する乳幼児の福祉を積極的に増進することに最もふさわしいものでなければならないという基本的考え方の上に、主に「保育」を行います。

教育と保育

前記の通り、幼稚園では主に「教育」を行い、保育園では主に「保育」を行うわけですが、では「教育」と「保育」は何が違うのでしょうか。
「教育」は、他人に対して、意図的な働きかけを行うことによって、その人間を望ましい方向へ変化させることです。
「保育」は、幼児の心身の正常な発育を目的として、幼稚園・保育所・託児所などで行われる養護を含んだ教育作用です。
つまり、保育は教育の中に含まれるということになります。
このことから、既存の幼稚園を「認定こども園」として新設するケースが多くなっています。

「認定こども園」で何が変わる?

「認定こども園」では、保護者が働いていて家庭で保育できない「保育に欠ける」子と、家庭保育が行われている「保育に欠けない」子のどちらも入所することができ、どちらの子も一緒に教育・保育を受けられるようになります。
そして、保護者が仕事を辞めたことでこれまで通っていた保育園を退園せざるを得なかった子どもが、保護者の就業状況が変わっても同じ園で生活を続けることができるようになります。
さらに、その地域の子育て支援の拠点となるので、通園していない子どもの交流の拠点としての役割も果たし、子育て相談や親子の交流の場に参加しやすくなります。

まとめ

これまで未就学児の保育の選択として、保育園か幼稚園か家庭保育かの3本柱でしたが、『認定こども園』の普及で新しい選択肢ができることになります。これによって、子育てを理由に働きたくても働けなかった母親がより働きやすい環境になります。
しかし、まだ普及しているわけではなく発展途上の状態です。保育士不足などの問題も山積みです。
まだ始まったばかりの、子ども・子育て支援新制度が理想だけで終わらないことを祈るばかりです。

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