母乳育児マニュアル。基礎知識を知っておこう

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母乳育児を考えている皆さんへ。マニュアル的にまとめてみました。参考にしてください。



赤ちゃんにとってのメリット

【栄養満点】
母乳には赤ちゃんがすくすく育つために必要な栄養素(乳糖や脂肪、たんぱく質、カルシウム、ビタミン、ミネラルなど)が過不足なく含まれていて、なおかつそれらは赤ちゃんの腎臓や肝臓、消化器官などに負担をかけないような構成となっています。
また、善玉菌が増えることでおなかの調子もよくなり、さらには乳糖が多く含まれるため脳の発育をも助けてくれるのです。

【免疫物質】
母乳は病気に対する抵抗力を強めてくれることから、「最初の予防接種」とも呼ばれているそうです。特に、産後2~3日に分泌される「初乳」には分泌型免疫グロブリン(SIgA)と呼ばれる免疫体が豊富に含まれています。これが腸の粘膜に広がり細菌やウィルス、アレルギーの原因となる異種たんぱくの侵入を防いでくれるとか。また、母乳で育った赤ちゃんは乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率も低いとされています。

【顎の発育を促す】
母乳を飲むためには、顎や舌などをたくさん使わないといけません。このおっぱいを吸うという運動こそが顎の発達を促し、さらには脳の刺激となり全体的な発育にいい影響を与えます。顎の発達は、咀嚼力の発達とともに正しい歯並びを作る基礎になるそうです。

子供の肥満を防ぐ

マウスを使った実験で、母乳に含まれる脂質が脂肪の燃焼機能の発達を促すことがわかりました。この研究は、母乳で育った子供は肥満などの生活習慣病になりにくいという可能性を示しており、注目を集めています。
また、胎児期~乳児期の栄養状態は、何らかの仕組みで「記憶」され、成人期の生活習慣病の罹りやすさに関連すると考えられています。例を挙げると、妊娠期の母親が過栄養や栄養不足だと、生まれた子供は成人期に生活習慣病を発症する危険度が高まるといったことです。このため、乳児期に栄養を調整し、バランスの良い状態を「記憶」させることで、将来、生活習慣病になるリスクを減らせるとっ考えられています。

小児白血病になるリスクが大幅に下がる

医学誌「JAMA Pediatrics」に掲載された研究報告によると、6か月以上を母乳で育った子どもは、全く、もしくは6か月未満しか母乳を飲んでいない子どもに比べて19%も小児白血病にかかるリスクが低いことを発見しました。

米国小児科学会は、感染症やアレルギー、乳幼児突然死症候群などその他の病気のリスクを下げるとして、母親に対して幼児には少なくとも6か月は母乳を与えるように推奨しています。この新しい研究のリーダーである、イスラエルのハイファ公共衛生大学のエフラット・L・アミテイ氏は「母乳の健康上のメリットを主張する研究は数多く存在している。母乳は研究所では作り出せない、抗体やナチュラルキラー細胞といった生きた物質を含んでいるのだ」と、改めて母乳栄養のメリットについて言及しています。

お母さんにとってのメリット

【産後の回復が早い】
赤ちゃんがおっぱいを吸うと、子宮の収縮が促されて産後の回復が早まります。
また、おっぱいを外に押し出すためのホルモン(オキシトシン)にはママをリラックスさせる効果もあり、マタニティブルーになりにくいそうです。

【産後ダイエットに効果的】
妊娠中に蓄えた脂肪は、授乳によって母乳の乳脂肪へと変化します。ママの体からは無理なく脂肪が落ち、赤ちゃんの栄養へと変わっていく。
もしも完全母乳で授乳に成功すれば、ジムなどでトレーニングをする程度のカロリーが消費されると言われていますし、母乳育児は、まさに「自然なダイエット」といえるでしょう。

専門家の試算によれば、平均的なママが1日に生産する720~830ミリリットルの母乳を作るのに、約500カロリーを消費すると言われています。これはかなり大きいブラウニー1個に相当します(もっとヘルシーな比較をするなら、中くらいの人参20本に相当)。母乳を作るために、1日あたり200~500カロリーを余分に消費していることが多いようです。

【経済的かつ実用的】
母乳はお金がかからないうえ、ゴミも出しません。また、赤ちゃんが泣いたらすぐに授乳できる・・・というメリットも。
さらに、母乳の温度が赤ちゃんにとって、もっとも最適な温度で飲めるので、楽々です。

いつまであげればいいの?

日本では、母乳育児は大体1歳をすぎると終わりという風潮がありますよね。しかし、卒乳の時期の世界平均は、WHOとユニセフの発表によると、なんと卒乳時期の世界平均は、「4歳2ヶ月」だそうです!
さらに WHOは2歳以上の幼児への授乳も推進しているんです。
近年、日本でも母乳育児推進の病院が増え、子どもが望むならば何歳でも授乳してよいといわれることも増えました。
しかし、数年前までは、母子手帳に「満1歳が断乳の目安の時期」と書いてあったこともあり、まだまだ断乳時期の主流は1歳前後と言えます。

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