「いけません」「ダメよ」が口グセの、教育熱心で子ども思いのしっかり者のママさん。子どもをしっかり育てなければならないという気持ちが強くて、つい頭ごなしに叱ってしまったり、子どものやることなすことに口を出してしまったり、手を出してしまったり…少し肩の力を抜いて子どもの自立心をうんと育ててあげましょう。
自分でやり遂げた達成感が子どもの自立心を育てます
おしゃべりが達者になってくる3~4歳は、コミュニケーション力が飛躍的に伸びる時期です。そして、「自分でする!」と、何でもかんでも自分でやりたがり、お母さんの手を煩わせることも増えます。
「自分でやり遂げたい」という思いが満たされると達成感が芽生え、それがやがて目標を持って行動する”自律”につながり、社会を生き抜く力を育てます。
子どもに何でもやらせるのは、本当に手がかかるし面倒なことです。しかし、ここでひと手間かけてやらせてあげると、将来言わなくても率先してお手伝いしてくれる、頼もしい子になるでしょう。
もちろん、危険を避ける配慮は必要です。子どもでも手伝えることを見つけて、一緒にやってみましょう。
片付けも楽しい刺激にして最後まで子どもにやらせる
子どもは「ワーキングメモリー」という記憶力が未発達で、新しい刺激で興味が他に移ると、今までやっていたことや、やるはずだったことを忘れてしまいます。今まで、ブロックで遊んでいたと思ったら、ブロックはそのままで、いつの間にかおままごとを始め…部屋は散らかり放題…
「何度言ったらわかるの!片付けないなら捨てちゃうからね!」
と、怒鳴ってしまう前に、散らかり過ぎないような事前の対策をしておくのも大切です。
たとえば、レジャーシートなど少し大きめの布を敷いて、「おもちゃで遊ぶのはこの上だけにしょうね」と、子ども専用スペースを作ってあげるのもいいです。
そして、お片付けするときは、一緒にシートの四隅を持ち上げて、真中におもちゃを寄せたら、そのまま収納ケースにバサッとしまいます。
手軽で、遊び感覚でできるので、子どももきっと喜んでお片付けしてくれるでしょう。
ポイントは、必ず子ども自身に最後までやらせることです。少し手伝ってもかまいません。自分で使ったものは自分で片付ける、つまり、自分でしたことの責任は、必ず自分でとらなければならないことを、日々の習慣から学ばせることが大切です。
子どものわがままは我慢する気持ちを養うチャンス
子どもが言葉で意思が伝えられるようになってくると、子どものわがままも増えてきます。1日中「ダメよ!」ばかり発しているお母さんも少なくはないでしょう。しかし、子どもがわがままを言うときは、我慢する気持ちを養う、絶好のタイミングです。
自分の欲求に対して「ダメ」と言われても、子どもは何が駄目なのか理解できません。思いが受け入れられないという不満だけが残り、要求がとおるまで泣き叫び続きます。
頭ごなしの「ダメ」は子どもにとって逆効果です。まずは欲求を受け止めてから解決策を示してあげましょう。
例えば、夕飯前に「お菓子が食べたい!」と駄々をこねて泣き叫ぶ子に対して、子どもの目線に腰を落としておちついた口調で「そっか。お菓子が食べたいんだね」と、ひとまず子どもの要求を受け止めて言葉にしてあげます。子どもは、自分の要求を受け止めてもらえたことですこし落ち着きを取り戻します。そして、「もうすぐご飯だから、このお菓子は明日食べようね」と、子どもの気持ちを確認しながら解決策を示します。
ちょっと手間はかかりますが、頭ごなしに「ダメ」と言うよりも、子どもは納得してくれるものです。
ルールの意味を理解させると社会性が養われる
子どもは成長の過程で、自分にもひとりの人間として主張する権利があること、それと同時に社会にもルールがあることを、学ばなければなりません。
そしてまた、母親の意思=社会のルールでないこと、ルールはそこにいる人間、環境によって変化することも、教えていく必要があります。
「お母さんに叱られるから」と習慣ついてしまったのでは意味がありません。
それぞれの家庭のルールの中には、子どもの意思を尊重しながら一緒に決めていけるものもあります。例えば、食事のときはテレビを消す。などです。
自分で決めたことであれば、子どもは自分からそのルールを守るようになるものです。それがやがて、自分の意思をしっかり持ち、責任ある行動をとうということにつながっていきます。
子どもを叱るタイミングは「不健康・危険・不道徳」の3つだけ
子どものしつけに必要なのは、怒ることではなく叱ることです。叱るとは、相手のことを認めたうえで、ある特定の行為について改善させるために、相手に意思を伝えることです。
そして、お母さんが子どもを叱るタイミングは、「不健康になるとき」「危険なとき」「道徳に反した時」の3つだけです。
1日中ガミガミ言っている気がするお母さん。子どもに何か言いたくなったら一呼吸おいて、今が叱るタイミングなのか考えてみて下さい。
「こどものわがままに、感情的になっているだけかも」と思ったら、少しクールダウンしてみましょう。
そして、子どもの気持ちを受け止めて、「~してみようよ」と新しい提案をしてあげてください。
この積み重ねによって、子どもは自分の感情をコントロールすることを学びます。