今までタバコを吸っていたという人も、妊娠したら禁煙して下さい。
タバコは百害あって一利無し、と言われるように、お腹の赤ちゃんにとっても悪影響を与えてしまいます。
急な禁煙は難しいですが、その「1本だけなら」という気持ちが、大切な赤ちゃんの命に危険を及ぼしてしまうのです。
今回は、タバコが胎児に与える影響についてお話します。
悪影響その1:流産
タバコを吸うと、ニコチンの影響で血管の収縮が起こります。
これにより、赤ちゃんへ充分な酸素が届かなくなってしまうのです。
また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結合してしまい、本来結合するはずの酸素と結合できず、母子ともに低酸素状態になります。
このような状態が長く続くことにより、赤ちゃんに充分な酸素・栄養が届かず、成長を妨げる原因になってしまうのです。
胎盤機能が低下し、最悪の場合、せっかく授かった命を流産してしまうことになります。
悪影響その2:早産
タバコを吸い続けると、本来なら37週以降に出産するところを、在胎週数22週から36週の間に赤ちゃんが外に出てきてしまう可能性が高まります。
タバコを吸い続けた結果、子宮・胎盤の血液循環が滞り、胎盤の機能が低下してしまったり、子宮の収縮が起こりやすくなってしまうためです。
仮に一命は取り留めたとしても、早産の場合、合併症のリスク等が正規産の赤ちゃんよりも高くなってしまいますので、良いことは何もありません。
悪影響その3:常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離とは、本来なら赤ちゃんが生まれた後に子宮壁からはがれて外に出てくる胎盤が、赤ちゃんがまだお腹の中にいる時に子宮壁からはがれてしまうことを言います。
胎盤がはがれてしまうと、赤ちゃんに酸素や栄養が送られなくなってしまいます。
また、大出血を伴いますので、母子ともに非常に危険な状態になります。
下腹部に激痛があり、おなかが堅くなるといった症状があったら急いで受診しなければなりません。
この場合、妊娠週数に関わらず緊急帝王切開をすることになります。
悪影響その4:胎児機能不全
なんらかの原因で赤ちゃんが低酸素状態になることにより、赤ちゃんの臓器の機能が低下し、赤ちゃんが元気でなくなってしまう状態です。
タバコを吸うと、赤ちゃんに充分な酸素が供給されませんので、この状態になってしまう可能性が高くなります。
赤ちゃんが胎児機能不全になると、切迫早産の原因となります。
悪影響その5:低出生体重児
正常な赤ちゃんの出生体重は2500~4000とされています。
2500未満の赤ちゃんを低出生体重児、1500未満の赤ちゃんを極低出生体重児、1000未満の赤ちゃんを超低出生体重児と言います。
低出生体重児は、正常体重の児童と比べても多くのリスクを背負っています。
未熟児貧血や未熟児黄疸をはじめ、呼吸窮迫症候群や無呼吸発作、脳室内出血などの多くの合併症の危険があります。
禁煙することで、これらの症状に陥るリスクを減らしてあげることができるのです。
いかがでしたか?
世の中には、「喫煙していたけれど健康な子を産んだ」という人もいるでしょう。
しかし、だからといって、全員が健康に生まれてくれる訳ではありません。
タバコを吸っていることは、間違いなく胎児に悪影響を与えているのです。
子供に必要のないリスクを負わせる前に、少しでも健康に生まれてきてくれるように、禁煙を頑張ってみませんか?