妊娠中は母体の抵抗力が普段よりも落ちています。
普段なら大したことのない風邪や症状が出ないような感染症でも重症化する恐れがあるんです。
また胎児への感染や発育への悪影響も予想されますので十分に予防対策をとっておくようにしましょう。
流行にのりたくない!インフルエンザ
妊娠中でなくても流行にのりたくないのがインフルエンザですよね。
症状についてもよくご存じだと思います。
妊娠中に感染してしまっても母子感染はほぼありませんが、症状が重症化しやすい傾向がありますので気を付けましょう。
妊娠初期の感染で母体の症状が悪化した場合は胎児への悪影響も懸念されますので特に注意が必要です。
インフルエンザの症状についてもまとめておきます。
《インフルエンザの症状》
・39℃以上の発熱
・関節痛・頭痛
・(解熱後)咳、鼻水
インフルエンザかな?と感じたら、かかりつけの産院に連絡し早めに受診してください。
(内科を受診する場合は必ず妊娠中であることをつたえましょう)
何よりもしっかりとした予防対策が肝心ですので以下の点に気を付けてみてください。
《予防対策》
・外出後の手洗いうがいの徹底
・室内の加湿(冬場は特に意識しましょう)
・十分な睡眠と栄養補給
・人込みを避ける
・予防接種
(インフルエンザの予防接種は妊娠中でも可能ですのでかかりつけの医師と相談のもとで検討してみてください)
妊娠初期~中期は特に気を付けたい風疹
近年、大流行した風疹は妊娠初期から中期にかけて特に気を付けたい感染症の一つです。
妊娠中の感染は時期によりそれぞれに異なりますが胎児の先天性心疾患、白内障、難聴などを引き起こす危険性が高まります。
(これらの症状は先天性風疹症候群ともよばれ妊娠16週以前の風疹感染は非常に危険視されています。)
通常は妊娠初期に風疹に免疫があるかなどの検査が行われます。
そこで免疫が十分でない場合は予防対策を念入りに行いましょう。
また、産後できるだけ早い段階で予防接種を受けることをおススメします。
《風疹の症状》
・発熱
・リンパ腺の炎症
・関節痛
・発疹
・(無症状の場合もありますが胎児への影響は懸念されます)
《予防対策》
・飛沫感染ですので人混みに出て行かない(特に妊娠16週以前)
・家族に予防接種を受けてもらう
妊婦の風疹感染の原因の一つに家族が持ち込んだケースが多く挙げられています。
自治体によっては妊娠中の妻を持つ男性への風疹予防接種の助成券を出しているところもありますので活用するようにしましょう。
妊娠中はかかりやすいカンジタ膣炎
妊娠中は免疫力が低下していることや、ホルモン変化の影響でカンジタ膣炎にかかりやすくなっています。
放っておいてそのまま出産してしまうと、産道で赤ちゃんに感染し赤ちゃんの口の中でカンジタ菌が繁殖炎症する「鵞口瘡(がこうそう)」を引き起こすことがあります。
それだけは避けたいですよね。
以下の症状が現れたら早めにかかりつけの産院で相談・治療してもらうようにしましょう。
《カンジタ膣炎の症状》
・外陰部の強い痒み
・カッテージチーズ状の白っぽいおりもの
・外陰部の腫れ・ただれ
痒みや腫れなどの症状がでないこともありますので、おりものに変化を感じたら早めに医師に相談してください。
治療しても再発する場合は夫婦間での感染が考えられます。
その場合はパートナーもいっしょに治療を受けてもらうようにしてください。
動物との接触に要注意!トキソプラズマ
トキソプラズマは猫や人などの哺乳類や鳥類に寄生する原虫です。
通常は感染しても症状は特に出ませんが、妊娠中に初めて感染してしまうと胎盤を通して胎児に感染し脳炎や髄膜炎、目や血液の異常を引き起こすトキソプラズマ症にかかる恐れがあるといわれています。
妊娠初期にトキソプラズマの初感染の有無を調べることができますので、陽性の場合は治療を行い、陰性の場合は日常生活での注意が必要になります。
以下の点に注意して対策をとるようにしましょう。
《予防対策》
・妊娠中に新たにペットを飼い始めない
・他所のペットに過剰に触れない
・口移しでのエサやりなどのペットとの過剰な接触を避ける
・ペットの糞尿の処理をしたらよく手を洗う
・馬刺しやユッケなどの生肉を食べない
・野菜果物は食べる前に十分に洗う
・土いじりなどをする場合は手袋を着用し終わったらよく手を洗う
当たり前のことのようで、だからこそ普段見落としがちな点が多いですので気を付けてみてください。
飼い猫が外出自由であったり、まだペットを飼いはじめて日が浅い場合は動物病院でトキソプラズマの検査をしてもらうのも有効です。
妊娠したからとペットを手放してしまう方もたまにいるようですが、その必要はありません。
衛生面さえしっかりと意識できればペットと赤ちゃんのいる生活を楽しめますよ。
出産までに検査がある!GBSって何?
「GBS」聞きなれないですよね?
私も妊娠中の検査で初めて知りました。
「B群溶連菌」という細菌で、膣や尿道・外陰部に常時住みついている菌として10%~20%の女性が保有しているそうです。
菌をもっていても母体には何の問題もありませんが、経膣分娩の際に赤ちゃんが感染してしまう可能性があります。
そのため経膣分娩を行う予定の妊婦さんは必ず妊娠後期~生期産の間でGBSの保有者かどうかを調べる検査を行います。
陽性の場合は抗生物質で出産時まで治療をしていく必要があります。
特に予防したりすることはありませんが、妊娠中の知識として知っておくと検査の時に理解しやすいですよ。
後期になって「難しい菌のことをいまさら言われても…」と不安にならずに済みます。
いかがでしたか?いずれも些細な心掛けで予防することができます。
そして「かかってしまったかな」と感じたらすぐに医師に相談することが重要です。
妊娠中だからと言って病気に絶対かかってはいけないわけではありません。
病気にかかったからと言って絶対に子どもに異常が出るわけでもありません。
気負いすぎずしっかりと予防対策を取り、病産院をフル活用して元気な赤ちゃんを産んでくださいね。