基本的信頼の育て方と乳幼児期の発達

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子どもの要求に何度もこたえ続けることによって、子どもは安心感と信頼感を抱きます。0歳から2歳頃までに、子どもの心にこの基本的信頼を育てることが、子育てで最も大切なことです。

ここでは基本的信頼の育て方と乳幼児期の心の発達についてまとめています。



基本的信頼とは、大きな家の土台のようなもの

人間の心の発達を家に例えて考えると、乳幼児期の子育ては、基礎工事と同じです。基本的信頼は、心の発達の基盤となるもので、母親を信じることができて初めて他人を信じられるようになります。この基本的信頼は、生後6カ月頃から1歳半頃までに、母親とのスキンシップにより最も豊かに育つと言われています。
この時期にしっかりと基本的信頼をもった子は、安心して物事に取り組み、自信を深めます。そしてやがて親を離れ、友達や仲間と遊びあいながら、確かな自我をつくっていきます。

子どもは依存と反抗を繰り返して成長していく。

母親を心から信頼し、安心するということは、言葉を換えれば、母親に依存するということです。しかし、依存は過度の甘え、反抗はわがままだと思っている人もいるかもしれません。幼い子どもが母親に甘えたり、わがままを言ったりするのはごく普通のことです。
十分に依存できている子は、母親を信頼しているので、見捨てられることはないと分かっているからこそ反抗できるのです。母親が自分をしっかり受け止めてくれるか試しているようなところもあります。
このように、子どもは母親に依存して安心感を抱き、その庇護のもとで適度に反抗し、生き方を学んでいきます。
つまり、依存と反抗は、子どもの成長に必要なステップなのです。

基準よりもやや遅いくらいの発達がちょうどいい

特に初めての子育てになると、我が子の発達が育児書に書いてあるよりも遅いと、とても不安になります。しかし、基準よりも遅れているからと言って心配はありません。個人差の範囲だと思っておおらかに待ちましょう。
子ども一人ひとりに、その子の発達のペースがあります。目安や他の子を気にするよりも、我が子を一番気にしてあげて下さい。子どもが自分のペースで成長できるよう、辛抱強く待つことが大切です。
あまりに心配して焦り過ぎてしまうと、子どもの失敗ばかりが目につくようになり、ますます目安が気になってしまい悪循環に陥ってしまいます。

この時期のつまづきは成人期のひきこもりの原因になる

これまで書いてきたように、母親や周りの大人が要求に応えることで、安心感や人を信じる力、人と関わる力といった基本的信頼が育っていきます。
乳幼児期に基本的信頼を持つことができないと、その後人間関係が広がりにくくなり、学校でも職場でも孤立しがちで、ひきこもりにつながるケースもあります。
何歳になってからでも、子どもの望みにこたえて、関係を作り直すことはできます。乳幼児期ほど簡単ではありませんが、希望を持って、親子で信頼関係をつくることから始めましょう。

まとめ

乳幼児期にできるだけ子どもの要求にこたえることで、その後の人生の基礎、人間関係の基盤ができあがります。
とにかく、幼い子どもの声や涙にこたえ、願いをかなえてやり、子どもを安心させることが大切です。四六時中子どもにかかりっきりになることはありません。子どもが何か要求してきたときは、できるだけ手を止めてかなえようとしてあげる姿を見るだけでも、子どもは自分は愛されていると感じることができます。「今この子を幸せにしてあげたい」という思いを持っていれば、その思いは必ず子どもに伝わるでしょう。

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