元気に笑っている赤ちゃんに、了解も取らずワクチンを接種するのはかわいそうな気がします。でも、ママからもらった免疫が切れる3か月くらいから、感染症にかかりやすくなります。そこで今回は生後2か月から受けられる予防接種についてまとめてみました。
B型肝炎ワクチン
生まれてすぐから受けられる予防接種ですが、意外と知られていません。
日本のB型肝炎の感染者は100人に1人と言われていて、よく耳にする病気の一つです。
3歳未満で感染すると、将来肝臓がんになりやすくなりますが、早めのワクチン接種で予防できる病気です。
WHO(世界保健機構)では、生後すぐにB型肝炎ワクチンを定期接種することを推奨しています。
多くの国で3回の定期接種を実施していますが、日本では任意接種のみ。
1回5,000円~8,000円程度で、3回接種する必要があります。
平成25年の調査では、副反応の確率は軽微なものを含めて 0.001%、6か月未満の男の子1人に重篤な後遺症、10歳未満の男の子1人の死亡例がありました。
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule/2012/Lchildren120401.pdf
BCGワクチン
BCGは、結核を予防するワクチンです。
結核は、乳幼児の患者は少ないものの、毎年12万人以上の日本人が感染している病気です。
BCGは生まれてすぐから接種できますが、5ヶ月~8か月の接種が標準です。
独特の注射の跡が残りますが、結核になるよりずっといいので、接種するべきです。
生ワクチンのため、集団接種で実施する場合が多く、赤ちゃんの体調と合わないと受けにくいのですが、できるだけ無料で受けられる期間に受けておきましょう。
副反応は少なく軽いのですが、まれに骨炎や骨髄炎にかかることがあります。
平成22年のデータでは、100万回の接種で骨炎などが5件発生しています。
Hib(ヒブ)ワクチン
Hibは、赤ちゃんの20人に1人くらいが鼻やのどにもっている細菌で、感染力が強いため保育園や幼稚園に通う子どもの多くが細菌を持っています。
この細菌が脳に達して感染し「細菌性骨髄炎」という命にかかわる病気を発症することがあります。
細菌性骨髄炎は、3割が死亡または重い後遺症が残る病気で、0歳児に最も多くみられます。
乳幼児の0.05%がかかってしまう怖い病気ですが、これを防ぐのがHibワクチン。
保育園など集団で生活する前に是非ワクチンを接種しましょう。
平成25年から定期接種になり、費用を負担することなく受けることができます。
任意なら1回8,000円程度です。
2か月~6か月の間に初回を接種して、合計4回で終了します。
副反応はほとんどありませんが、まれにアナフィラキシーのような症状があらわれることがあります。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou/pdf/110228-2.pdf
小児用肺炎球菌ワクチン
小児用肺炎球菌ワクチンは、Hibワクチンと並んで細菌性骨髄炎を予防するワクチンです。
これらのワクチンが普及する前は、子どもの細菌性骨髄炎患者は毎年1,000人程度。
このうち、ヒブによるものが最も多くて600人程度、次に肺炎球菌によるものが200人程度でした。
肺炎球菌による細菌性骨髄炎も、0歳児で最も多く、患者の半数程度が1歳未満。
その後徐々に減りますが、5歳くらいまでは注意が必要です。
小児用肺炎球菌ワクチンは、平成25年からは13種類(従来は7種類)の肺炎球菌に予防効果があるものが定期接種されています。
Hibと同じく4回接種することになっています。
自費なら1回1万円以上かかってしまいますが、定期接種になったため無料で受けることができます。
副反応は少なく、まれにアナフィラキシー・痙攣などがみられますが、比較的安心して受けられるワクチンです。
ロタウイルスワクチン
冬から春に流行する「ロタウイルス胃腸炎」を予防するワクチン。
ロタウイルス胃腸炎は乳幼児に多く、半数の乳幼児がかかると言われています。
有効な薬もないので、早めに接種したいワクチンの一つです。
WHOは、子どもの最重要ワクチンの一つに指定していますが、日本では任意接種です。
全部で2~3回接種し、合計30,000円前後かかります。
副反応として、まれに腸閉塞などがみられます。
早めに受けるべきワクチンが多いので、計画的に予防接種を受けないと、受け損ねてしまいます。
欧米では2か月の赤ちゃんに6種類のワクチンを接種するのが普通です。
生後2か月から受けられるHib・小児用肺炎球菌・ロタウイルスのワクチンは同時接種可能なので、小児科の先生と相談しながら進めて行ってください。
予防接種については改定が多く、接種時期や回数、定期接種か任意接種か、など頻繁に変更されています。
厚生労働省や国立感染症研究所のHPなどで、常に新しい情報をつかんで、適正にワクチンを接種して赤ちゃんの健康を守ってあげたいですね。