以前は『妊娠中毒症』という名前で呼ばれていた妊娠高血圧症候群。
妊娠後期に出ることが多く、約1割程度の妊婦さんが発症します。
この妊娠高血圧症候群、重症になると母子ともに危険な状態に陥ってしまうんです。
どんな症状なのか、防ぐにはどうしたらいいのか、知っておきたい知識をご紹介します。
妊娠高血圧症候群の原因
実は、原因についてはまだはっきりとわかっていません。
母体が妊娠による体の変化についていけずに起こる体調不良と言われており、妊娠前からの体質が大きく影響しているようです。
初産の人や太りすぎの人、高血圧、腎臓病、糖尿病またはこれらの病気にかかったことのある人などがかかりやすいようです。
本人が健康でも、家族に高血圧、腎臓病、糖尿病の方がいる人も発症リスクが高くなります。
これらの条件に当てはまらない人も、予防策を充分に講じる必要があります。
妊娠高血圧症候群の症状
妊娠高血圧症候群の症状としては、高血圧、尿タンパク、むくみがあげられます。
これらのうち1つないし2つが妊娠後に表れたら、妊娠高血圧症候群と診断されます。
ただし、むくみは妊婦さんの30%にみられる症状なので、高血圧と尿タンパクを重視する向きが強いようです。
高血圧や尿タンパクは、自分ではなかなか気づきにくい症状です。
そのため、自宅ではむくみに気をつけるようにしてください。
突然急激にむくみ、翌朝になっても引かないようであれば健診を待たずに受診しましょう。
赤ちゃんへの影響
妊娠高血圧症候群は赤ちゃんにも大きな影響を及ぼします。
妊娠高血圧症候群の症状のひとつに尿タンパクがあります。
これは、ママの体内からタンパクが漏れてしまっていることを意味します。
つまり、その分だけ赤ちゃんに送れる栄養が少なくなってしまうのです。
また、重度の妊娠高血圧症候群になると、血液の流れが悪くなり、赤ちゃんに栄養や酸素が充分に届かなくなってしまいます。
そのため低出生体重児として産まれてきたり、脳に障害が出たり、最悪死産してしまうこともあるのです。
分娩時にも赤ちゃんの心拍に異常が起こりやすくなるので、緊急帝王切開になることがあります。
治療方法
妊娠高血圧症候群は、基本的に食事療法で治します。
妊婦さんそれぞれに合った塩分量や水分量などを考えた上でカロリー制限を行います。
重度の場合は入院によって治療しますが、そうでない場合は自宅での療養となります。
食事は1日3回から減らすことなく、間食をやめたり料理の味付けを薄くしましょう。
また、高血圧が続く場合は薬物療法をすることもあります。
薬を使うことに抵抗のある妊婦さんも多いですが、妊娠高血圧症候群の場合は薬を使わないとかえって赤ちゃんの命が危険にさらされます。
予防方法
妊娠したら、妊娠高血圧症候群にならないような生活を送ることが何よりも大切です。
塩分とカロリー控えめの食事を1日3回しっかりとり、間食は控えましょう。
疲労やストレスをためないよう、睡眠を充分にとることも大切です。
人間関係や仕事関係などストレスの原因がはっきりしている場合は、思い切ってストレスのもとを取り去ってみましょう。
妊娠中は家でずっと安静にしているよりも、軽く運動をする方が体にはよいものです。
散歩程度で充分ですので、適度に体を動かしてくださいね。