筆者に3人目の子どもが産まれた時、母は「お兄ちゃんにおんぶしてお世話させたらいいのに」と言いました。長男はその時6歳。筆者は「とても任せられないよ」とさせなかったのですが、ひと昔前はみんなそうやって、下の子の子守をしてこられたのですよね。
今でこそ「世話」は大人の役目、という意識がありますが、子どもだってやらせればできるはず。それを上手にお手伝いさせるポイントとは、どのようなものでしょうか。辰巳渚さんの著書「子どもを伸ばすお手伝い」を参考に、お世話のお手伝いについて考えてみたいと思います。
「世話」のお手伝い
「世話しておいてね」とお願いしただけでは、子どもには何をしたらいいかが伝わりません。具体的に教えていく必要がありますので、まずは親がやってみせましょう。
我が家の6歳と5歳2人のお兄ちゃんは、抱っこしたりミルクをやったりと、見よう見まねながらしきりにお世話をしたがりました。小さな子どものうちから、自分より小さいものを可愛がる気持ちは確かにあるものなのです。
相手が兄弟という生き物である以上、やってみて失敗だった、というわけにはいきませんので心配になるかもしれませんが、やらせてみなければできるようにはなりません。最初は「お手伝い」より「足手まとい」に思えても、慣れるまでとにかくやらせてみてくださいね。
兄弟の世話をしてみよう
小学校に入る前の子どもに、お世話を完全に任せることは難しいかもしれません。まずは、3つのお手伝いが最初のステップになります。
・見ていてもらう
料理をしている時など、目が行き届かない時に下の子が危ないことをしないか、見ているお手伝いです。「ソファに上ろうとしたら教えてね」など、具体的な例を伝えておいてください。
・おやつをあげる
一緒におやつを食べる時、下の子の分まで出す、口に運んであげる、などのお世話をするお手伝いです。
・手を引いてあげる
散歩したり、お買い物したりする時に、下の子が歩けるようなら上の子と手をつながせてみましょう。嬉しさのあまり駆け出してしまわないよう、優しく力加減を教えてあげてくださいね。
小学生以上になったら
ほんの少しステップアップして、お世話の幅を広げてみましょう。
・着替えをさせる
よだれかけを取り替える、パジャマを着せる、外に行く時に靴を履かせてあげる、などのお世話ができるようになっているはずです。
・いっしょに寝る
寝相が悪く、下の子がまだ赤ちゃんのうちは難しいかもしれませんが、3歳くらいになったら、親が寝かしつけることなく兄弟で一緒に眠ってくれるようになります。
世話の基本とは
兄弟の世話、草花の世話、ペットの世話など、家の中で「世話」できることはいろいろあります。すべてに共通する基本は「目は配りつつ、手を出しすぎない」こと。植木鉢の花が手をかけすぎると逆に元気がなくなってしまうように、ほどほどにほったらかして、目だけはちゃんと配っておく。そうすると世話のタイミングは見えてくるものだそうです。そこを逃がさずに世話することが、大事なポイントなのです。
子どもたちが気づくこと
自分より弱いもの、小さいものの世話をすることで、子どもたちはいろいろなことに気づくのだそうです。
生き物は、自分の思いどおりにはなってくれない。じゃあ一体どうしたらいいんだろう?ということまで自分なりに考えられるようになると、素晴らしいですね。また、自分中心ではなく、相手がどうしてほしいのかを感じ取ろうとする大切さも、お手伝いを通して分かってくるはず。
そんな気づきを、親も一緒になって、大切に育ててあげられたらいいですね。