今、小学校や中学校では、子供の不登校が問題になっています。
20年前より子供の数は減っているのに、不登校の子供の数は増え、小学生・中学生全体に占める割合は2倍以上になっています。
このような不登校の実態を、5つのデータで見ていきます。
◇不登校の小学生・中学生の人数
平成26年12月文部科学省発表の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」のデータを見ていきたいと思います。
不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的理由によるものを除く)」です。
平成25年度の小・中学校の不登校児童・生徒数は次の通りでした。
小学生・・・24,175人(0.36%)
中学生・・・95,442人(2.69%)
こんなに多くの子供が、学校に行けず、つらい思いをして過ごしているとは知りませんでした。
20年前と比べてみます。平成5年度は次の通りです。
小学生・・・14,769人(0.17%)
中学生・・・60,039人(1.24%)
20年間で、人数で1.5倍以上・割合で2倍以上に増えてしまっています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/12/1354076.htm
◇不登校児童・生徒の在籍学校数
不登校の児童・生徒が1人でも在籍する学校の数を見ると、
小学校・・・9,788校(46.3%)
中学校・・・8,853校(82.9%)
不登校の子供が1人以上いる割合は、小学校では2校に1校近く、中学校では5校に4校以上です。
学校に行かない子供は目立たないので、分かりにくいですが、
不登校の子供がひとりもいない学校の方が少ない
ということが事実のようです。
国立・公立・私立別に比率を見ると、小学校も中学校も国立が一番多く、私立が一番少なくなっています。
国立・・・小学校51.4% 中学校89.6%
公立・・・小学校46.4% 中学校83.5%
私立・・・小学校37.1% 中学校75.0%
公立より国立の学校の方が不登校の子供がいる確率が高いのは、意外でした。
◇学年別不登校者数
学年ごとの不登校児童・生徒数を、小学校1年生から中学校3年生まで順に並べてみます。
小学校1年男子 606人 女子544人
2年 976人 830人
3年 1,540人 1,251人
4年 2,319人 1,972人
5年 3,191人 2,396人
6年 4,046人 3,964人
中学校1年男子11,375人 女子11,015人
2年 17,473人 16,843人
3年 20,347人 18,389人
全学年通して、女子より男子の方が多いです。
小学生は学年が上がるにつれてだんだん増えて、中学生になると一気に増えます。
一度も減ることなく増え続けいます。
24年度と25年度と児童・生徒の割合を見てみます。
小学校 2年 28.2%
3年 32.5%
4年 34.5%
5年 36.7%
6年 39.8%
中学校1年 28.2%
2年 48.7%
3年 61.4%
これらの数字を見ると、不登校は学年をまたいで続いてしまっている子供が多く、学年が上がるとその割合が増えていくことがわかります。
不登校が長期化してしまっている子供が多いことが予想されます。
◇不登校になってしまった理由
不登校のきっかけになったと思われる理由でもっとも多いのが「無気力」です。
ここでは、小学校・中学校別に多い順に5つずつ紹介します。
小学校1:不安など情緒的混乱 8,541人(35.3%)
2:無気力 5,565人(23.0%)
3:親子関係をめぐる問題 4,617人(19.1%)
4:いじめを除く友人関係をめぐる問題 2,705人(11.2%)
5:病気による欠席 2,324人(9.6%)
中学校1:無気力 25,048人(26.2%)
2:不安など情緒的混乱 25,040人(26.2%)
3:いじめを除く友人関係をめぐる問題 15,188人(15.9%)
4:学業不振 8,802人(9.2%)
5:親子関係をめぐる問題 8,412人(8.8%)
本人の問題である「無気力」「不安など情緒的混乱」が50%以上を占めています。
「いじめ」は、小学校・中学校合わせて1,941人(1.6%)と、意外と少ないです。
無気力や不安なる原因がいじめではなかったか、気になります。
◇学校に行かなくても出席扱いになるケースがある
この調査には「学校外の機関等で相談・指導等を受け,指導要録上出席扱いとした児童生徒数」という項目があります。この人数は次の通りです。
小学校 3,157人
中学校 13,704人
また「自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」という項目もあり、この人数は次の通りです。
小学校 58人
中学校 198人
不登校が長期化してしまった場合、無理やり行かせなくても、救済措置があって、学校以外の機関や自宅でも出席日数をカウントしてもらえる、ということを知っておくと良いかもしれません。
平成27年8月に文部科学省から「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う施設に関する調査」の結果が公表されました。
NPO法人や任意団体などに小学生・中学生合わせて約4,200人が通い、出席扱いになっている割合は50%を超えています。
不登校はひとりひとりの状態が違って、とてもデリケートな問題です。
いろいろな対策や支援が広がって全ての子供たちが明るく過ごせることを願わずにはいられません。