どうしたら「こころの豊かな子」に育つの?

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我が子に「やさしくおおらかな子に育ってほしい」と願うお母さんがほとんどだと思います。やさしくおおらかな「こころ」を持っていれば、これから先、生きていく上で多少の困難があっても、しっかり乗り越えていけるだろう。という、親の切実な思いが込められています。では、どのように子どもと接すれば「こころの豊かな子」に育っていくのでしょうか…



「愛情と信頼」が親子のあいだには何よりも必要

赤ちゃんはとにかくよく泣きます。それは、泣くことでしか自分を表現できないからです。泣くとお母さんが飛んできて、
「おなかすいたの?」
「オムツ替えてみようか?」
「淋しかったの?よしよし」
などと優しい声を掛けながら、お世話をしてくれ、不快だったり不安だったりした気持ちを心地よくしてくれます。
このような経験を通して、赤ちゃんは、「世の中っていいものかもしれない」ということをなんとなく感じていくのだと言われています。
そして、生まれてまもなくの赤ちゃんが、時々笑ったような表情をすることがあります。これは、新生児微笑と呼ばれます。新生児微笑はただ単に、顔の筋肉がゆるんで笑っているように見えるだけで、嬉しかったり楽しかったりするからではないのですが、お母さんはそんな赤ちゃんの顔を見ると、いとおしくてたまらなくなり、お母さんも思わず笑顔になります。
このように、赤ちゃんの表情に、お母さんが反応することはとても大切なことです。
お母さんが、「まあ、笑っているのね」などと話しかけたり、反応することによって、赤ちゃんの情緒やコミュニケーション能力が育っていきます。
つまり、子どもが健全に育つためには、不快感や不安感をとりのぞいてくれたり、あやしてくれたりというように、自分の行動に常に反応してくれる人がいることが大事なのです。
赤ちゃんや子どもは親に依存しないと生きていけません。その時期に、親に十分依存でき、きちんとコミュニケーションがとれると、親と子は愛情と信頼で結びつくことができ、親と子のあいだに、「愛着関係」ができていきます。そして、親と子のあいだに愛着関係がしっかり形成されていれば、その子はやがて親以外の人とも信頼関係を結ぶことができます。

「甘えさせる」経験をたくさんさせてあげる

「甘えさせる」というのは、子どもが「抱っこして」と寄ってきたら抱っこしてあげる。「ねえママ~」と話しかけてきたら、「なぁに?」と子どもの方をきちんと向いて話をきいてあげるといったことです。
以前は、親に甘えたり依存したりすると、子どもの自立が遅れると言われていました。しかし、現在では、小さい時に親にたくさん甘えて、十分依存することが、子どもの自立につながると考えられています。
親にたくさん甘えられた子どもは、「甘えたいという気持ち」が満たされるので、スムーズに自立することができます。ですから、「甘えさせる」をたくさん経験させてあげることが大切です。
しかし、子どもは忙しい時に限って「ママ~ママ~」と甘えてくるものです。こんなときお母さんは「ちょっと待ってね~」と言ってしまいがちですが、10秒でもいいのでしっかりと抱きしめてあげてください。1分だけでもいいから、「なあに?」と話を聞いてあげてください。それだけでも、子どもは親の愛情を実感できるものです。

「自分が好きな子」は人にもやさしくなれる。

「自分が好き」という気持ちは非常に大切なものです。自分を好きと思える人は、自分の存在に自信が持てるし、自分を肯定的に見られます。自分を好きでなければ、人を好きになどなれないし、人に対する思いやりの気持ちや優しさも持てません。
よい人間関係を結ぶには、相手を好きになり、そして相手を信頼することです。困ったときには、「助けて、何とかして」と、誰かに頼ることができる、その代わり困っている人を見たら、「どうしたの?」と手を差し伸べることができることが必要です。
人の痛みの分かってあげられる力は、親とのあいだでしっかりした愛着関係を結び、親に十分に甘えさせてもらえたという経験に加え、まわりの大人や友だちと関わることによって育っていきます。
子どもをたくさん褒めて、認めて、励ましてあげて下さい。いっぱい抱きしめて、「あなたのこと大好きよ。大切な宝物よ」というメッセージを伝えて下さい。
そうすることで、その子は「自分が好き」になります。それによって。お友達や周囲の人に優しくすることができるようになります。

自分に対する「プラスのイメージ」を育てる

子どもは、いろいろな人と関わることによって成長していきます。大人からすれば、ただお友達と遊んでいるだけのように見えても、その中でいろいろなことを体験し、いろいろなことを感じとっています。時にはけんかをして、もちろん仲直りもして、色々な経験を積んでいきます。
こうしたことを通して、子どもは人を愛する喜び、信頼する喜びを感じます。同時に友達から愛され、信頼される喜びも感じていきます。
このような経験は、「自分は愛され、信頼される価値のある人間だ」という自分に対するプラスのイメージを育てていきます。そして、このプラスのイメージを育てることで、「自分を好き」になることができます。
この自分に対するプラスのイメージを育ててあげるにはいくつかコツがあります。
まず、普段から子どもを叱る時には、お友達やきょうだいと比較して叱らないことです。そして、「あなたはダメね」などと、否定的な言葉で叱るのもよくありません。
このような叱り方を続けてしまうと、「どうせ自分はダメな子なんだ」というマイナスのイメージばかりが大きくなり、劣等感をもつようになってしまいます。

スキンシップやほめことばは、子どもの「こころの栄養」になる

プラスのイメージを育てるための魔法があります。
「プラスのストローク」をたくさん発信することです。
ストロークとは、テニスの一打のことですが、「なでる」「さする」といった意味もあります。
このプラスのストロークはいわばこころの栄養です。
例えば、朝起きたら必ず、「おはよう」とあいさつをします。このたった一言にも、「ああ起きたのね、お母さんあなたが起きたこと分かってるよ」という非常に大きな意味を持っています。つまり、「あなたの存在を認めているよ」というプラスのストロークです。
子どもを丸ごと受け入れ、「あなたがいるということだけで、お母さんは幸せなのよ」と、子どもの存在そのものを認めるメッセージをたくさん伝えて下さい。
そのプラスのストロークで、自分に対するプラスのイメージをもつことができます。

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