1歳は身体的に大きな発達が見られ好奇心が育つ時期です。興味を持ったことには、何でも手を出して試してみるので手もかかりますが、「やってみたい」と思えるような好奇心を刺激する環境づくりを心掛け、できるだけ「ダメ」と言わず、「できたね」と励まし見守ることで、挑戦する喜びを知るようになります。
「いけません」ではなく「できたね」でやる気を育てる
上手に歩けるようになる頃の子どもは、好奇心のかたまりで、気になるものがあれば、すぐに手に取り、口に入れ、たたき、最後には投げ捨てます。これは興味の惹かれるものに対して、色々と試してそれが何なのか、何のためにあるのかを確かめているのです。この時期を「実験期」と呼び、強い好奇心はたくましく生きていくための学びのエネルギー源になります。
この時期は「いけません」と言いたくなっても、まずは「できたね」と新しい知識やスキルを習得したことを認めてあげましょう。子どもにとって小さな「できた」は成長の証です。「できたね」「登れたね」「投げられたね」と言って、やる気を育ててあげましょう。
「転ばないでね」ではなく「気をつけてね」
1歳の頃は、とにかくやんちゃで手がかかります。この頃は、体の機能が著しく発達し、歩いたり、走ったりできるようになるため、とにかく動き回りたくて仕方ないのです。しかし、まだ動きもぎこちないため、大人はつい「転ばないでね」「落ちないでね」と声を掛けてしまいがちです。ところが、子どもはまだ否定形を理解できません。ですので、「気をつけてね」と言ってあげましょう。何を「しないか」ではなく、何を「すればいいのか」具体的に伝えてあげましょう。「前を向いてね」「ゆっくりね」などです。「気をつけてね」は、すべてに通じる万能な言葉です。しかも、どうしたら気をつけられるのか子ども自身に考える機会を与えてくれます。
「ダメ!」ではなく「熱いよ」「痛いよ」と言いかえる
現在の住宅地は、子どもの安全を考えると「ダメ」と言うことだらけです。大人が「ダメ」「ダメ」「ダメ」と一日中何回も言わなくては、安全に過ごせないのです。だからこそ、無条件で叱っていいのは「危険なとき」だけにしましょう。そして、なぜ危険なのかはっきりと伝えてあげてください。熱い鍋を触ろうとしていたら「熱いよ」。ハサミを口に入れようとしていたら「危ないよ」。包丁に手を伸ばしていたら「切れるよ」と具体的に、それをしたらどうなるのかを教えてあげましょう。
「あなたの気持ちはわかっているよ」とベビーサインで伝える
1歳を過ぎると、「キーキー」「ワーワー」と大声を張り上げる子どもがいます。子どもが大声を出す一番の原因は、自分の気持ちをうまく伝えられないことです。上手に言葉で伝えられない子どもは、「なんで分かってくれないの?」と叫んでいるのです。
こんなときは、ボディーランゲージで考えていることを伝えるベビーサインを試してみましょう。例えば、お腹がすいていそうだったら、口元を指でポンポンと触り、「お腹がすいたの?」と聞いてみます。何度かやっているうちに、自分で口元を指でポンポンと触り気持ちを伝えてくれるようになります。親子でオリジナルのサインをたくさん作りましょう。
「指さし」にしっかりと応じて「見つけたのね」と言ってあげる
1歳を過ぎると、子どもが何か指さしながら「あっあっ」と言うようになります。これを「指さし」といいます。自分が興味のあることをお母さんに一生懸命伝えようとします。この「指さし」をしている時は、子どものコミュニケーションの範囲が広がっている証拠です。「はいはい」と受け流さずに、できる限り丁寧に対応してあげてください。
最初の「あっあっ」は、「見て見て」という意味です。そこで、「気付いたのね」「見つけたのね」と声をかけましょう。そして「ほしいのね」「触りたいのね」などと言って要求を声に出してあげ、理解してあげて下さい。