新生児の33人に一人がNICU(新生児集中治療室)に入院しているという統計があります。
集中治療を受けている赤ちゃんは想像以上に多いと思いませんか?
いざという時に慌てないよう、NICUがどんなところなのか知っておきましょう。
どんなところにあるの?
大学病院や総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターなどに指定されている大きい病院に設置されています。
全国に約280施設存在しています。
どんなお医者さんが診てくれるの?
小児科医のなかでも、生まれたばかりの小さい赤ちゃんを診療することができる新生児科医が治療にあたります。
NICUには新生児科医が24時間常勤していて、他の科と当直を兼任しないように定められています。
どんな時に入院するの?
入院理由は大きく分けて3つあります。
ひとつめは早産の赤ちゃん。
現在、日本では妊娠22週0日以降36週6日までに生まれた赤ちゃんを早産と呼んでいます。
早産の赤ちゃんは体も小さく、自発呼吸ができないなど、子宮の外で生きていけるだけの能力がないこともあり、NICUで呼吸や循環の管理をします。
ふたつめは生まれつきの病気をもって生まれてきた赤ちゃん。
生まれてすぐに手術が必要な病気や染色体異常など様々な病気の赤ちゃんがNICUに入院しています。
みっつめはお産で具合の悪くなった赤ちゃんです。
お産の途中、胎児の心拍が低下してしまうと仮死状態になります。
さらに仮死状態の胎児が生まれる前に胎便を排泄し、胎便の混ざった羊水を飲んでしまうなど、お産の途中で赤ちゃんの具合が悪くなってしまう場合があります。
その場合、生まれてから蘇生させたり呼吸や循環の管理をする必要があります。
どんな治療をするの?
早産の場合、できるだけ子宮内に近い環境で呼吸や循環管理をします。
早産児に多い脳室内出血の予防のためにも呼吸循環管理をしっかりと行い、刺激を与えないようにすることが大切とされています。
口から母乳を飲めるようになるまで経管栄養などで直接胃に母乳やミルクを送り、体重が増えるのを待ちます。
生まれつきの病気をもった赤ちゃんは、生まれてから手術を受ける場合もあります。
手術が受けられるように体調を整えます。
手術を受けるのにベストな時期を新生児科と各
科の医師で相談して決めていきます。
染色体異常の赤ちゃんは合併症がある場合もあります。
その場合、合併症の治療にもあたります。
また、悲しいことに、重大な病気によって生まれてすぐに亡くなってしまう赤ちゃんもいます。
その場合、どこまで集中治療をするのかを家族と相談し、家族の希望があれば緩和ケアをしながら、赤ちゃんと家族が一緒に触れ合いながら大切な時間を過ごせるようにサポートします。
お産で具合の悪くなった赤ちゃんには人工呼吸など蘇生法を施し、呼吸や循環の管理を行います。
また、他院で生まれた具合の悪い赤ちゃんをドクターカーで迎えに行ったり、他の病院への三角搬送しながら、救急車の中で診療を始めることもあります。
退院後はどうなるの?
NICUを退院した赤ちゃんは、必要があれば酸素吸入などの在宅療法を行いながら、入院したNICUのある病院などで、その後数年にわたってフォローアップ検診を受けます。
在宅療法が必要ない赤ちゃんでも、フォローアップ検診を受けることは多いようです。
どのくらいの期間、フォローアップ検診を受けるかは主治医の判断で決まります。
検診では発達が月齢・年齢どおり進んでいるかどうか調べたり、療育などのフォローが必要かどうかなどを知ることができます。
生まれてくるお子さんの誰もが入院する可能性があるNICUの特徴をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか。
もし、お子さんがNICUに入院することになっても、そこには頼りになる医師や看護師がいます。
医療者と相談しながら、お子さんと過ごす時間を大切にしていきたいですね。