夫婦できちんと向き合おう。不妊治療を始める前に話し合っておくこと。

5,122 views

結婚して赤ちゃんが欲しいと思ってから、1年~2年妊娠しないときは不妊治療を始めましょう。

不妊治療は女性だけのものではありません。

夫婦二人で乗り越えるために、治療の前に話し合っておくといいことをいくつかご紹介します。



どの程度まで治療をするか?

不妊治療をしようと夫婦で決めたら、次に話し合ってほしいのは「どの程度まで治療をするか?」ということです。

不妊治療をしたからといって、すぐに妊娠するとは限りません。
中には10年以上続けている人もいますが、長く続けている人たちの中には「どこでやめたらいいかわからない。今回ダメでも、次で成功するかも!と思ったらやめられない・・・」と言う人もいます。
どこでやめたらいいかわからなくなった場合のために、夫婦できちんと話し合いましょう。

「どの程度」というのは、いろいろあります。

まずは「時間」です。
女性が妊娠できる期間というのは限界がありますので、妻の年齢で「この歳まで治療をする」と決めるか、「この先○年間治療をする」と決めるといいと思います。
子供が成人するまでの年齢を考えて、男性の年齢も考慮しておくのもいいかもしれませんね。
今は医学の進歩で40歳を過ぎて初産を経験する人も増えていますし、50歳近くでも不妊治療で妊娠する人もいますが、自分たち夫婦がそこまでできるのかをきちんと考えましょう。

次に「金銭面」です。
今のところ、不妊治療は保険がききません。
自治体によって助成金が出ることもありますが、治療をすすめていくうえでお金がかかることは確実です。
病院にもよりますが体外受精になると、1回50万円ほどかかる場合もあります。
それを子供ができるまで続けたら・・・家が一軒建てられるほどのお金を使ってしまったという人もいます。

最後に「治療の段階」です。
不妊治療には段階があります。
まず最初に、不妊検査が行われます。これは夫婦揃って受けるべきです。
不妊は女性の問題だと思っている人がまだ多くますが、不妊の原因の半分は、男性側にあるとも言われているのです。
女性だけが不妊治療をしても、男性に原因があったとしたら・・・女性が頑張ってきた治療は無駄になってしまいますよね。
そういうわけなので、最初の検査は夫婦揃って受けましょう。
原因がわかれば、医師と話し合いをして治療を進めていきます。
一般的には「タイミング法」→「人工授精」→「体外受精」とすすんでいきます。
段階があがるほど、体への負担も大きくなります。
どこまでやるのか、何回までやるのか、夫婦で話し合っておきましょう。

もちろん、治療の途中で考え方が変わることもあるでしょうから、最初に決めたとおりにする必要などありません。
迷ったとき、悩んだときの参考にするために、最初に夫婦で話し合っておいてほしいのです。

夫の協力・理解は得られるか?

夫婦で不妊治療をすると決めても、中心になって頑張るのはやはり女性の方が多いでしょう。
男女どちらに不妊原因があったとしても、通院回数や体への負担は女性の方が大きいと思います。

そして、男性の中には不妊治療に協力をするけれど、あまりに生々しい話は聞きたくない・・・という人もいます。
自分自身の検査結果が悪くても、オブラートに包んで教えてほしい・・・というデリケートな人もいます。
治療を始めてからそういう男性だったとわかるケースもありますので、最初に「あなたはどこまで協力できる?」「あなたはどこまで詳しく話を聞きたい?」と聞いておきましょう。

不妊治療中、女性は薬の副作用で苦しんだり、頻繁な通院で精神的に参ったりします。
そんなとき、家事を変わってくれたり、料理ができなくてもお弁当を買ってきてくれたり、精神的に参って当り散らす奥さんを許すことができるのか?
そんな奥さんは嫌だ!と逃げてしまうのか?
俺には関係ないと突き放してしまうのか?
最初に「不妊治療を始めたら私は精神的に不安定になるかもしれない。それでも支えてほしい。優しく包んでほしい」と伝えておきましょう。
二人の子供を授かるために頑張っているのが奥さんだけだなんて、おかしいですよね。
「あなたの協力と理解がなくては、不妊治療を続けることができなくなるかもしれない」と、ちょっと脅しておくのもいいかもしれません。

不妊治療は出口の見えないトンネルです。
出口は「妊娠」かもしれないし「出産」かもしれません。
もしかしたら「諦め」かもしれません。
どの出口でもいいのです。
どれも一生懸命頑張った結果なのですから、それが正解の出口です。
そのトンネルを抜けるまで、夫が協力をしてくれるのか、ちゃんと妻のことを理解してくれるのか、不妊治療を始める前に話し合っておくと、治療で不安になったときの励みになります。

不妊治療中は「どうして私だけ?」と思いがちですが、旦那さんがちゃんと自分の辛さを理解してくれていると思えば、気持ちが少し楽になります。
精神的に辛くて吐き出したい思いも、旦那さんがすべて受け止めてくれると思えば、遠慮なく吐き出せます。
痛くて辛い治療も、家に帰れば旦那さんが優しく抱きしめてくれる・・・と思えば、頑張れるかもしれません。
そういう協力の方法も、あるのです。
長くて辛い不妊治療を始める前に、夫がどれくらい協力してくれるのか、理解してくれるのかを知り、足りないなぁ・・・と思ったらもっと話し合いを深めてみましょう。
夫婦で乗り越えるためには、最初に話し合うのは大事なことです。

治療費はどれくらいかけられる?

今は不妊治療に保険がききません。
自治体から助成金が出ている場合もありますが、それですべての不妊治療費を賄えるわけではありません。
先にも書きましたが、子供を授かるまで不妊治療を続けたら、一軒家が建つほどのお金を使っていた!という、嘘なのか本当なのかわからないような噂話もあります。

不妊治療の中でも特に高額な「体外受精」や「顕微授精」を何度も行うと、100万や200万はあっという間に使ってしまうかもしれません。
そんなお金は準備できない・・・と、不妊治療を諦める人も多くいるようです。

夫婦で話し合うべきは、自分たちのお財布からどれくらいまで不妊治療に使えるか?です。
不妊治療のゴールは、妊娠・出産かもしれません。
でも、生まれてきた赤ちゃんは成長していきます。
成人するまで、社会に出るまで、ちゃんとお世話をするのが親の役目ですから、赤ちゃんの成長に必要になるお金も残しておきたいですよね?
不妊治療中だって、旅行したり、お買い物をしたり、遊びに行ったりしたいですよね?
そういうことも全部ひっくるめて、どれくらいのお金を出せるのか話し合うのも大切です。

不妊治療費のために遊ぶのを我慢してずっと家にいたら・・・大きなストレスになります。
ストレスは、妊娠したい女性にとっては大きな敵です。
妊娠するために我慢しなきゃ!という気持ちそのものも、ストレスになるのです。

不妊治療を始めてすぐに、高額必要になるわけではありません。
一般的には半年ほどタイミング法を行い、次のステップである人工授精へすすみます。
人工授精の費用は病院によって異なりますが、1万円~2万円というところが多いようです。
ここまでは、それほど家計に響きません。
次のステップである「体外受精」や「顕微授精」が高額な不妊治療となります。
こちらも病院によって異なりますが、体外受精・顕微授精は20万~50万ほどかかります。

高額な不妊治療を見据えて貯金を始めるのもいいでしょう。
不妊治療にはお金がかかるということをしっかり認識し、どれくらいまでなら準備できるのか、現実的に把握しておきましょう。
中には借金をして不妊治療を続けるご夫婦もいらっしゃるようですが、おすすめできません。
すぐに返せる金額であれば構いませんが、何度も高額治療をするとなると、そんなに簡単なものではありませんよね。
なにより、妊娠したらそれで終わりではないからです。
その先、最低でも20年。子供が成人するまでは親として子供を守り育てなければなりませんから。

周囲への協力・理解はどこまで求める?

不妊治療をしていくうえで、必要になるのが周囲の協力・理解です。
協力・理解を得るには、カミングアウトしなければなりません。
不妊治療を始めてすぐに話をするのか、迷惑をかける段階になってから話をするのか考えておきましょう。

特に女性は頻繁に通院する時期があるので、会社に遅刻したり早退したりしなければならないかもしれません。薬の副作用で出勤できない日があるかもしれません。
それに、上司や同僚に「不妊治療しています」と公言するのは、なんだかちょっと抵抗がありますよね。
でも、会社に迷惑をかけるようなときはせめて上司にだけは本当のことを話しておきましょう。
仲良しの女性同僚にも話しておくと、なにかあったときにフォローしてもらえるかもしれません。
毎日のように接する人たちには、隠し通すことはかなり難しいですので、なるべくなら話しておくといいでしょう。

話すことで余計な気を遣わせてしまうこともあるかもしれませんが、なにも知らずに迷惑をかけるよりはマシだと思います。

そして、自分たちの親にはどうするか・・・が大きな問題になると思います。
古い考えの人の中にはいまだに「子供ができないのは嫁が悪い」と思っている人もいるのです。
カミングアウトすることで酷い言葉を投げつけられるかもしれませんし、どんなに説明しても理解してもらえないかもしれません。
もしもそういう親だったら・・・旦那さんに頑張ってもらうしかありませんね。
夫婦で話し合ってほしいのは「不妊治療をしているとカミングアウトするのはいつ?」ということです。
不妊治療を始めてすぐにカミングアウトするのか、気づかれるまで放っておくのか、最後まで黙っておくのか・・・
夫婦それぞれの親の性格を考えて、いつカミングアウトするのか決めたほうがいいでしょう。

カミングアウトすることで理解を得たら、金銭的な援助が得られる可能性もありますし、薬の副作用で辛い時は家事を手伝いに来てくれるかもしれません。
「孫はまだかー」というプレッシャーからも解放されることでしょう。

夫婦二人だけで悩んだり苦しんだりして、周りには一切カミングアウトすることなく不妊治療を続けていくと、精神的にどんどん追い込まれていくでしょう。
誰にも相談できない、誰にも協力してもらえない状況は、とても辛いことです。
話しづらいことではありますが、協力や理解を得るためには周囲へのカミングアウトが必要なのです。

諦めるという選択肢

不妊治療は出口の見えないトンネルです。
出口は「妊娠」だったり「出産」だったりするのが一般的なのでしょう。
でも、そこにもう一つだけ出口を作ってください。
「諦める」という出口です。

「諦める」と言うとなんだかマイナスイメージしかないような気がしますが、そうではありません。
自分たちにできる精一杯のことをやった結果諦めるのは、決して悪いことではないのです。

最初に「どの程度まで治療をするか」を決めましょうと書きました。
「諦め」はその段階に達した時に見えてくる出口です。
諦めなければいつかは必ず赤ちゃんを授かれるのだったら、誰も諦めないでしょう。
ですが、不妊治療をしている人のすべてが妊娠できるわけではありません。
様々な事情で不妊治療をやめることになる人もたくさんいるのです。

赤ちゃんを諦めるなんて、なかなか決断できることではありません。
不妊治療をするからには、いつかは赤ちゃんを!と願っていたはずですから、それを「諦めろ」と言うのはとても残酷なことかもしれません。

でも、やるだけのことをやって、それでもだめだったなら、諦めるしかないのです。
どんな手段を使ってでも赤ちゃんを授かってみせる!!というのは、法律を無視したり、誰かを犠牲にしなければできないことではないですか?
諦めたら、今度は夫婦二人だけの生活をどうやったら楽しめるか考えましょう。
夫婦の間に子供はいなくても、夫婦二人で幸せに末永く生きていけばいいのです。

だから最初に知っておいてほしいのです。
不妊治療を始める前に、夫婦で確認しあってください。
やれるだけのことをやって、それでも子供が出来なかったら、諦めるという選択肢があるということを。

自分たちの遺伝子を受け継いでいなくても、子供のいる生活がしたい!と言う人には、特別養子縁組・養子縁組という方法があります。
特別養子縁組と養子縁組は成立までのプロセスや、年齢制限、戸籍の記載の違いなど、異なる部分があるので、きちんと勉強しておきましょう。

最後になりますが、子供のいない生活は、決してかわいそうなことではありません。
今はたくさんのライフスタイルがあります。
周りが何を言おうと、夫婦が幸せならそれでいいのです。
夫婦二人で楽しく幸せに暮らしている人たちは大勢います。
「諦める」という選択肢があるということを、夫婦で不妊治療を始める前に確認しておくことで、本当に諦めることになったときに後悔をしない治療ができると思います。

http://happy-yurikago.net/2014/12/255/

こんな記事も読まれています