産まれてからずっとお母さんの世界で生きてきた赤ちゃんが1歳半頃から急に「イヤだ!」「だって!」と反抗してくる姿に戸惑うお母さんも多いと思います。
第一反抗期とも言われるこの時期の子どもとどのように関わっていけばいいのでしょうか。
ヒトから人間に変わる時期ー自我の育ち
1歳半頃になると、赤ちゃんを卒業し幼児期に入ってきます。
特にことばを使って自分の思いを伝えることができるようになり、意思表示をしたり自己主張したりするようになります。
このように人間らしさを獲得し、自分ができることが増えてくる1歳児の姿を称して「ヒトから人間に変わる時期」と言われることがあります。
そして、これまでなかった「自我」が芽生え始めます。豊かになったことばで、自分の要求や思いを強く主張するようになります。
いわゆる「イヤイヤ期」です。大人からすると一見「わがまま」に見える姿に、「この時期からしっかりしつけないと」と焦り、強制的にやめさせたり、大人の言うことを聞かせようとしてしまいますが、こういったイヤイヤやダダコネは、周囲とぶつかり合うことで相手の思いに気付き、社会のルールを学んでいくための大切なプロセスになりますので、大人が先に折れてあげることが大切です。
「やりたい気持ち」と「できること」
子どもの「やりたい気持ち」が強くなると何でも自分でやりたがるようになります。例えば、お母さんのお手伝いがしたいと言うので洗い物をさせてみると、お皿をひっくり返したり、辺り一面水び出しにしたりとかえって邪魔になることが多く、つい大人が手を出してしまいがちです。すると子どもは、「自分でやる!」と怒ったりかんしゃくを起こしたりします。これは、本人は至って真剣に手伝っているのに大人に邪魔されたと思っているのです。そして、上手にできるはずなのにうまくできない自分を受け止められずにかんしゃくを起こしたりします。このように、「やりたい気持ち」と「できること」の差が自分でも受け入れられずに子ども自身が困っていたり悩んでいたりします。
納得いくまでやらせてみる
「自分でやりたい」という気持ちが強くなるこの時期は、子どもが何か始めた時は「待っててあげるからね」というスタンスで、ひとまず納得するまでやらせて見守ってあげることが大切です。うまくできなくて困っていたり、悔しくて泣いたりしている時は大人はすぐに手を出すのではなく、さり気なくやり方を教えてあげましょう。こういったやり取りで子どもの意欲は高まっていきます。
子どもは相手に受け止めてもらうことを求めています。「どこまでも自分でしよう」とする子どもの気持ちを受け止めてあげることで、「自分でできた」という満足感へつながり自分への自信がついていきます。
「自立」と「依存」
この頃になると、「オカアサンミテテネー」という子どもが多くなります。この言葉にはいくつかの意味が込められています。まず一つ目は、一人でできるようになった自分を認めてもらいたい、褒めてもらいたいという気持ちが強くなってきたからです。二つ目は「お母さんは手を出さないで見ててね」という一人で頑張っている自分をきちんと見てほしいからです。これらは、自立したいという気持ちが込められています。そして、3つ目は「お母さんはどこにも行かないで近くで見ていてね」という依存の気持ちが込められています。このように、「自立」と「依存」の間で揺れ動く時期でもあります。
次第に自分自身のことでもできることとできないことが分かり始め、次第に上手下手を気にするようになります。ですので、「がんばれ。がんばれ」という励ましや、「上手にできた」「一番だね」という結果だけを褒めるのは、子どもからしたら「早く。早く」「もっとうまく。うまく」と追い立てられる感じがしてしまうのです。
出来上がりの結果よりも、こども自身が今目の前の課題に頑張っている過程をきちんと見てあげて褒めてあげることが大切です。そして結果できなくても、「失敗してもいいよ」「また挑戦しようね」「ここまでよく頑張ったね」と褒めてあげることが達成感につながっていきます。
まとめ
ことばの数が増え子どもとお話ができるようになってこれから楽しくなると思っていたのに、何をするにも「イヤだ!」といって怒ったり、「だって!」と言い訳をしたり、思っていたのとちょっと違う…このまま我がままな子どもになってしまうのではないか…と不安になってしまいがちな時期ですが、子どもも必死に自立への一歩を踏み出そうともがいている時期でもあります。子どもも何か理由があってダダをこねているので、関わり方に迷った時はシンプルにその理由を聞いてみるのもいいかもしれません。
この時期に一番大切なのは焦らず急かさず見守ってあげることです。「早く。早く」と言ってしまいがちですが、ぐっと我慢して子どもが頑張っている姿を最後まで見て褒めてあげてください。