スリングの種類と選び方

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ベビーキャリアのほか、寝かしつけ用グッズとしても活躍するスリングについて、その種類と選び方を解説します



スリングとは?

5年ほど前に、一大ブームとなったスリング。そのスタイリッシュさから流行は始まりましたが、様々な抱き方と月齢に対応できる機能性にも注目が集まりました。そのときほどのブームは過ぎ去りましたが、今でもスリングを愛用している人は少なくありません。

スリングの良さは、多くの赤ちゃんが安心して抱っこされていること。赤ちゃんを包み込むかのような独特な感覚がおなかにいた時と似ているとされ、赤ちゃんを中に入れるとすぐに寝てしまうという話はよく聞きます。そのため、寝かしつけ用の抱っこ紐として使っている人も多いようです。

一方で、誤った使い方をすると落下の危険が大きい、呼吸の妨げや股関節の脱臼につながるとの意見もあります。でも、正しく使っていればスリングは素晴らしい育児用品。インストラクターに教わったり、使い方ビデオを見てから使用、購入すれば心配ありません。正しく、安全に使いこなすための、スリングの選び方についてまとめてみました。

スリングの安全基準、セイフティスリングマーク

スリングの安全基準のひとつとなるのが、セイフティスリングマーク(以下、SSマーク)です。スリングは最近広まった用品のため、法律で定められた安全基準などが整備されていないのです。そのため、日本ベビースリング協会により第三者機関において8項目にわたる共通の試験を行い、その基準に合格した製品にのみ表示することになったのがSSマーク。このSSマークは日本ベビースリング協会に加盟している法人のみが取得できます。

リングや布地の強度、落下衝撃耐久試験などをしっかりと試験している製品ならば、安心感も違いますよね。SSマーク取得商品のほかにも、安全性に問題のないものはたくさんありますが、ひとつの目安としてみてはいかがでしょうか。

長さ調節ができるかどうか

スリングの形状は、大きく分けてリング式/バックル式/チューブ式の3種類があります。それぞれのメリット、デメリットは以下の通りです。

【リング式】
二つのリングによって長さを微調整できるもの。さらに、テールの形状が幅広い「フレアーテールタイプ」と、縫ってまとめられた「ベルトテールタイプ」に分けられる。

・メリット
細かな微調整が可能で、パパとママの兼用ができる。フレアーテールタイプは外出時の肌がけや授乳の目隠しとしても使える。たっぷりと布地を使用しているものは、赤ちゃんが適度に身体を動かせる。
・デメリット
布地のボリュームがあり、持ち歩くとかさばる。

【バックル式】
長さ調節をや着脱をバックルによって行なうもの。また、赤ちゃんの入っている袋の部分にバックルを取り付け、微調整できるようにしている製品もある。

・メリット
初心者でも長さ調節しやすい。赤ちゃんの乗せ降ろしの際、スリングごとはずすのが簡単。パパとママが兼用しやすい。
・デメリット
バックル自体に重量があり、かさばってしまう。バックル自体が身体に当たり、痛みの原因になることがある。

【チューブ式】
シンプルな筒状で、長さ調節はできない。いくつかのサイズをラインナップしている商品が多い。

・メリット
着脱や乗せ降ろしが容易。伸縮性のある生地を使える。コンパクトなものが多い。そのまま寝かしつけたり、チャイルドシートに移動させられる。
・デメリット
長さが調節できないので、体格差のあるパパとママは兼用できない。

外食時にお店で用意してくれるベビーチェアはベルトが心もとないものだったり、そもそもベビーチェア自体がないお店もあります。そんなとき、リング式のスリングを持っていれば椅子の背もたれと赤ちゃんをしっかりと固定できるので、ずり落ち防止にかなり使えました。でもこの使い方はリングタイプでないとできません(バックルタイプだとベルトを完全に外せないため、背もたれの形状によっては固定できない)。使い方に慣れは必要ですが、工夫次第でもっとも使い道が広がるのはリング式だといえます。

チューブタイプは使い勝手がよいのですが、きちんと試着してサイズ選びをしないとかえって使いづらかったり、安全に抱っこすることができません。男女で兼用するならリング式かバックル式、単独使用で着脱の容易さを優先するならチューブ式を選ぶといいでしょう。

パッドの有無

スリングの中には快適性を上げるためパッドが入っているものもあります。パッドが入っているのは、主に肩にかかる部分と赤ちゃんを入れる部分のふち。それぞれのメリット、デメリットを理解したうえで、好みのタイプを選ぶといいでしょう。

【肩にパッドが入っているタイプ】
・メリット
肩へのあたりが和らぎ、負担が軽くなる。
・デメリット
かさばる。肩から腕の付け根に布地を広げ、負荷を分散させるほうが楽という人もいる。

【ふちにパッドが入っているタイプ】
・メリット
縦抱きにしたときの赤ちゃんの足へのあたりが和らぐ。ねじれにくい。
・デメリット
リングタイプ、バックルタイプの場合、長さの調節に限界が生じる。コンパクトに畳めない。赤ちゃんが足を広げにくいという意見もある。

生地や素材について

スリングは使われている素材によっても、快適性が変わります。主に使われている素材をまとめてみました。

【しじら織り】
夏の着物地として使われていた縮織の一種。丈夫で通気性に優れていることから、スリングによく用いられる。

【綿麻】
綿と麻の混紡。麻だけでは繰り返し使うことで毛玉が発生しやすく、そこから生地に穴が開くことがあります。そのため、綿と混紡にして毛玉を防いでいます。

【ニット】
綿と化繊を組み合わせ、伸縮性を持たせたもの。抱かれている赤ちゃんを締めつけ過ぎず、動きを妨げないという利点がある。

【ワッフル】
凹凸のある綿素材で、肌に張り付きにくく夏に向いている素材。

【ダンガリー】
丈夫で独特の色むらがある綿素材。ざっくりとした風合いが魅力。

【メッシュ】化繊で作られたメッシュ地。あたりが強く、長時間の使用には適さないが通気性はバツグン。ただし吸湿性がないので、暑い時期というより水場などで使う際に有効。

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