帝王切開の傷跡の残り方と傷の痛み

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帝王切開は安全に出産するための優れた方法ですが、女性としては傷跡がどのくらい残るのか気になるところですよね。

傷の目立ちやすさは手術や縫合の仕方、体質などで変わってきます。ここでは帝王切開の傷跡についてのお話しをしようと思います。



帝王切開ってどんな手術をするの?

帝王切開の手術法によって傷跡の残り方も違ってきます。まずは手術法を確認しましょう。
一般的に行われる2種類の切開方法についてご紹介します。

予定帝王切開に多い「横切り」と緊急帝王切開に多い「縦切り」

お腹の皮膚を横に切ったあと腹膜を縦に切り、子宮壁を横に切る方法です。
切った後は下着に隠れる部分なので傷跡が目立ちにくいメリットがあります。そのため傷跡を気にして「横に切ってください」とお願いする妊婦さんも多いそうです。

デメリットは横、縦、横と切開するので手術に時間がかかる、切る回数が多いので傷の痛みが長引くなどがあります。
「逆子が治らない」「ママの骨盤と赤ちゃんの頭の大きさが合わない」などの理由で、初めから帝王切開を予定している妊婦さんに行われることの多い方法です。

自然分娩を予定していたけれど、母体や赤ちゃんに何らかのトラブルが起きてしまった場合は緊急帝王切開となります。

緊急帝王切開の場合は縦に切ることが多いです。皮膚と腹膜を縦に切って子宮を横に切ります。皮膚を横に切るよりも切開の手順が少なく、赤ちゃんを早く出してあげることができます。
切る位置はへその下あたり、切る長さは状態によっても違いますが一般的に10センチ前後です。
横切りよりも傷跡が気になる可能性もありますが、母体や赤ちゃんの安全を守るためには必要な切開法です。

帝王切開手術での傷口の処置について

赤ちゃんを取り出すための手術というイメージがある帝王切開ですが、赤ちゃんが出てくるまでどのくらいの時間がかかるかご存知でしたか?

実は切開して赤ちゃんを取り出すまでは5分前後と非常に短時間なのです。
出血しないように子宮や腹膜などを何層にも渡って縫い合わせる必要があるため、手術時間のほとんどは縫合にあてられます。

子宮や腹膜などは溶ける糸を使って縫い合わせますが、皮膚の表面は糸で縫う方法の他に様々な方法があります。
どのような方法で傷口の処置が行われるかによっても傷跡の付きかたが変わってくるので、自分がどの方法で行われるのか前もって確認しておきましょう。
帝王切開で行われる傷口の処置について、よく行われている方法を2つご紹介します。

「医療用ホッチキス」で止める場合と「医療用接着剤」でくっつける場合

皮膚の傷口を医療用ホッチキスで止める方法がよく使われるようです。紙を止めるホッチキスと似ていて、切った部分をパチンパチンと止めていきます。
傷の状態によってホッチキスだけで止める場合と、ホッチキスと糸を使う場合があります。
傷口の様子を見てホッチキスの針を取り、その後は保護用のシートで傷跡を保護する場合が多いです。

◯医療用ホッチキスを使うメリットは次のとおりです。
・糸で縫うよりも傷跡が残りにくい
・針を打つだけなので短時間で終わる
・針を抜くときも簡単
ただし、針が金属なので金属アレルギーのある人には使えません。

縫った傷口を医療用接着剤でくっつける方法もあります。切開した皮膚の表面に塗るとフィルム状になって傷口を固定し保護します。接着剤は傷が治るにつれて自然とはがれ落ちるので抜糸など術後の処置はいりません。

◯医療用接着剤を使うメリットは次のとおりです。
・縫わないので傷が綺麗に治りやすい
・傷口が保護されているので水に濡れても大丈夫
このようにメリットの多い接着剤ですが、傷口の様子によっては他の方法を選択する場合もあります。

帝王切開の傷跡が残る原因は?

帝王切開をしても傷跡がほとんど残らない人と、しっかり残ってしまう人がいるのはなぜでしょうか。

傷跡が残るかどうかは体質によって変わってきます。過去にも傷跡が残ったことのあるケロイド体質の人は傷跡が残る可能性が高いです。
自分がケロイド体質と分かっている場合は、あらかじめ医師に相談して傷跡を保護するシートなどを処方してもらった方がいいでしょう。

また、アトピーやぜんそくなどアレルギー体質の人も要注意!傷跡が残りやすいと言われています。
傷跡が残ってしまうのは一種のアレルギー反応によって起こると考えられているためです。

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