知っておきたい出産時に受けるかもしれない医療処置まとめ・その2

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出産時にも様々な予期せぬ事態やトラブルは起こり得ます。

そんな時、提案される医療処置は同意書へのサインをその場で求められることもしばしばです。

今回は突然の事態にパニックを起こさずきちんと内容を判断できるように代表的な医療処置をご紹介していきます。



どうしても産まれない時の最終手段1・吸引分娩

「もう少しで赤ちゃんが産まれる!」という段階まで来てお産の進行が停滞してしまうことがあるんです。
これは母体に疲労がたまりうまくいきめなくなってしまったり、赤ちゃんが産道をうまく通れない場合、陣痛が微弱になってきてしまった場合に起こります。
また、臍帯が赤ちゃんよりも先に出てきてしまい赤ちゃんに十分な酸素と血液が回らなくなっている場合も可能性があります。
このような「もう少し!」という事態でとられることが多い医療処置が「吸引分娩」です。
「吸引分娩」とはシリコン製のカップ(トイレが詰まった時につかうラバーカップによく似た形状)を赤ちゃんの頭にあて吸引密着させてから赤ちゃんを引っ張り出す処置のことを言います。
やや強引な印象の吸引分娩では産まれた赤ちゃんの頭部に跡やコブがみられることがありますが数日で消えてしまいますので特に問題はないようです。
安心して処置を受けましょう。
心配や疑問がある場合は医師にしっかりと質問することも必要です。

どうしても産まれない時の最終手段2・鉗子分娩

吸引分娩と同様の事態でとられる可能性のあるもう一つの医療処置が「鉗子分娩」です。
「鉗子分娩」とは料理に使うトングのような形状の鉗子という器具を使い赤ちゃんの頭部を挟み引き出す処置のことを指します。
リスクとしては赤ちゃんに傷を負わせてしまう可能性、母体の子宮頸管・膣・膀胱を傷つけてしまう可能性が挙げられますが、リスクを負っても処置を施す必要がある事態だということを理解して落ち着いて対応しましょう。
赤ちゃんの脳に障害が残るという事例は極めて稀なようですが、最近ではほとんどの病産院が「鉗子分娩」ではなく「吸引分娩」を推奨しているようです。
気になる場合は出産前の検診で確認しておくと良いでしょう。

一番気になる?会陰切開

妊娠し出産について意識するようになると気になってくるのが「会陰切開」というワードではないでしょうか?
「会陰切開」については多くのメディアでも取り上げられているのでよくご存知の方も多いですよね。
「会陰切開」とは会陰と呼ばれる膣から肛門の間の部分をお産の時にはさみで切り、赤ちゃんを取り出す医療処置のことを言います。
最近では会陰裂傷によるリスクを避けるため必ず会陰切開を行う方針の病産院も増えてきたようです。
また逆に会陰切開を行わない方針の病産院、必要に応じて行う方針の病産院もあります。
お産前にかかりつけの産婦人科に確認しておくと良いでしょう。

会陰裂傷の場合のリスクと会陰裂傷・会陰切開を避けるためにできること

妊婦ならば誰もが気にしているあでろう「会陰裂傷」と「会陰切開」についてもう少し詳しくまとめておきましょう。
赤ちゃんは膣口を通り抜けると出たり入ったりを繰り返しおこないます。
その出入りの圧迫により会陰部は薄く伸ばされ、伸びが足りないと会陰部が避けてしまうのが「会陰裂傷」です。
「会陰裂傷」による傷は複数個所に及ぶことが多く縫合箇所も当然その分増えるので回復に時間がかかります。
また、重度の裂傷だと肛門括約筋や直腸まで避ける場合も…こうした事態を避けるためにも会陰の伸びが十分でないと医師が判断をしたら「会陰切開」を行うのです。

会陰切開も会陰裂傷も会陰の伸びが十分であれば問題はありません。
そこで会陰の伸びをよくするために妊娠中にできることを以下にまとめてみました。

・骨盤底筋群を柔軟にするストレッチをとりいれる
・お風呂上がりにオリーブオイルなどをつかい会陰マッサージを行う
・マタニティヨガをとりいれ、お産中にリラックスできる呼吸法をみにつけておく
(お産の際、緊張しすぎて無理にいきむことも会陰裂傷の原因になります)

病産院により必ず会陰切開をする方針の場合もありますが心がけ次第では切開も裂傷もなしのお産を手に入れることもできますので挑戦してみてください。

予期せぬ事態に臨機応変に対応!緊急帝王切開

妊娠中から日程を決めておく「予定帝王切開」についてはある程度知識のある方も多いのではないでしょうか?
でも、普通分娩から予期せぬ事態の発生により切り替わる「緊急帝王切開」もあるんです。
予期せぬ事態とは、
・臍帯トラブルにより胎児が危険な状態に陥った場合
・常位胎盤早期剥離による出血
・破水後長時間が経過し胎児が危険な状態になりそうな場合
・過強陣痛で子宮破裂が予想される場合
・胎児の旋回以上などでお産が進まず母子ともに危険な状態に陥った場合
などが挙げられます。

この場合はその場で即、同意を取り付け帝王切開手術へと切り替わります。
麻酔は腰椎麻酔か硬膜外麻酔(あるいは併用)で下半身を中心に麻痺させるものを使用するので意識はあります。
そのため赤ちゃんの産声はきちんと聞くことができますし、握手や頬ずりなどの接触もさせてもらえますよ。

いかがでしたか?
トラブルのないお産が理想ですが、必ずしもトラブルが生じないという保障は誰にもできません。
いざという時に備えて正しい知識、冷静な判断、信頼できる医療機関を揃えておいてください。

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